鳥山 雄司
1959年12月5日生れ
神奈川県出身
Pyramid/セッションギタリスト/音楽プロデューサー
【画像引用元:https://www.rittor-music.co.jp/pickup/detail/14207/】
今回のギターヒーローは秀才セッションギタリスト鳥山雄司です。
数々の有名アーティストたちのギターを務め、編曲家、プロデューサーとしても幅広いジャンルをこなすセッションギタリストです。誰もが一度は見たことのあるギタリストとしては一番じゃないかなと思われます音楽番組専属などセッション/サポートギタリストとしても現役で活躍中です。
【画像引用元:https://mikiki.tokyo.jp/articles/-/26462】
鳥山フュージョンのルーツ
ギタリストだった父親の影響で幼い頃からジャズやハワイアンに親しみ、小学生の頃には本格的に声楽、ピアノ、スティールギターを習い始めます。
中学、高校とギターを中心に音楽を学び続けました。ロック、ブルース、ジャズ、カントリーなどあらゆるジャンルに精通していましたが、当時の70、80年代の流行であったフュージョンに一番関心を持っていました。フュージョンの中にはあらゆる音楽が混在しておりジャズの派生とも言われています。鳥山は幼い頃から聴いていたジャズやハワイアン、ロック、クラシックが頭の中で同時に幾つも流れており、それをキレイに一つの箱の中に整理するとフュージョンになると語っています。
慶應義塾高校、大学と一緒だったドラマーの神保彰やピアニストの和泉宏隆らとフュージョンを研究、セッションなどを楽しみながら本格的な音楽活動を行っていました。
大学在学中にはセルフプロデュースによるアルバム「take A break」でデビューします。
本格的なフュージョンアルバムとなっており、鳥山のギターテクニック、プロデュース力はフュージョン界のみにはとどまらず、日本の音楽界全体で高評価を得ました。
周囲に音楽関係者多く、人当たりも良かった鳥山は当時からあらゆるバンドで演奏を行いスタジオミュージシャンとしてのキャリアを自然と積んでいきます。また、高中正義、松任谷由実などの実力派アーティストのツアーにも帯同しギタリストとしての技術を磨いていました。
プロデューサーとしての実力
大学卒業後はスタジオミュージシャンとしての実力とともにアレンジの才能も認められ、編曲家としても活動を始めました。鳥山が携わった有名なアーティストは、尾崎豊、西城秀樹、小室哲哉、葉加瀬太郎などジャンルは多岐にわたり、誰もが一度は聞いたことのあるサウンドを生み出すようになりました。
1990年代には、シャ乱Qの大ヒット曲「シングルベット」や松田聖子の「あなたに逢いたくて~Missing you~」の編曲を手掛け日本の歌謡曲には欠かせない存在となります。
鳥山自身が作曲編曲した「The Song of Life」はTBS系「世界遺産」のテーマ曲に採用されると大きな反響を呼び12年間もの間使用され続けました。
その後もスタジオミュージシャンとして活動を続け、フジテレビ系音楽番組「LOVE LOVE愛してる」のギタリストとして出演したのをきっかけに吉田拓郎のスタジオ兼ツアーギタリストを務め、大ヒットした郷ひろみの「Gold finger’99」の編曲と更に活動の場を広げていきました。2023年現在でも多くのアーティストのプロデュースを手掛ける他、セッションギタリストとしての活動も続けており、FNS歌謡祭やミュージックフェアなどの専属ギタリストとしても演奏しています。
【画像引用元:http://www.korg-kid.com/hkaudio/interview.html】
Pyramid
2005年に慶應義塾高校からバンド仲間であったドラマー神保彰、ピアニスト和泉宏隆とのユニット「Pyramid(ピラミッド)」を結成しました。オリジナルの楽曲の他、フュージョンアーティストのボブ・ジェームスやクルセイダーズのカバーもしています。ライブではベーシスト鳥越啓介、サクソフォン奏者の本田雅人を迎え入れ豪華なフュージョンバンドとして話題を呼び、レベルの高い演奏力でフュージョンミュージックの素晴らしさを再認識させてくれます。
2021年に和泉が死去したが、和泉の遺志を継ぎ鳥山と神保は継続を決意。
「別のジャンルや世代の人たちのハブになるような活動をしたい」
という意向から若手のミュージシャンの起用や様々なアーティストを迎え音楽プロジェクトを遂行させ、またPyramidのアルバム「Pyramid5」を完成させます。
【画像引用元:https://twitter.com/YujiToriyama】
進化するギター
鳥山が使用するメインギターはJames TylerのStudio Eliteを元に製作された自身のモデルです。ボディはマムヨというタイラーが多用している木材です。
【画像引用元:https://twitter.com/YujiToriyama】
ジェルトンの名で知られているマレーシア産の木材ですが、Malaysia Mysterious Woodの略字でマムヨになったそうです。非常に軽く柔らかいのが特徴で、音質は中音域のバランスが非常に良く鳴ることで有名です。鳥山のモデルはセミホロウ加工がしてあり、軽量化とセミアコのような響きを実現しています。安定した演奏姿勢と多ジャンルに対応できるためのギターといった感じです。ネックシェイプは鳥山が所有する‘59年製のフェンダーストラトを採寸計測して作られています。ピックアップはタイラー独自の物で、アクティブ、パッシブの切り替えやミッドブーストが搭載された驚異的なトーンのバリエーションを可能としています。
【画像引用元:https://twitter.com/YujiToriyama】
サブギターstudio Eliteをしようしていますが、チューニング違いなどの場合を除き基本的にはメイン機でステージをこなしています。
レコーディングではGibsonレスポールスタンダード、ES-335、Fenderストラトキャスターを使用していますが、やはりメインはJames Taylerだそうです。
機材
アンプ類は様々なジャンルをこなすスタジオミュージシャンに定評のあるオカダインターナショナルで組まれた機材でCAEやVHT、ボグナーなどを使用していましたが最近ではCARR Slant 6Vを多用しています。
ステージによってはライン出しもしているようで状況に応じて対応しているようです。
エフェクター類はラックではFractal AudioやLINE6を使用しています。これらも様々なジャンルに対応できるようにと考慮してのことだと思います。Pyramidなどでの演奏では足元のコンパクトエフェクターが多く追加され個性が出ています。
近年はエフェクターが一新され、CAE RS616からFree The Tone ARC-53Mに変更されています。歪ではBogner La GrangeやMXR CSP027 Timmy Overdriveが配置され、空間系モジュレーションはStrymon MOBIUS、Eventide Time Factor、t.c.electronic REVERBが配置されています。
Goodrich Volume Pedal 122とPeterson のtunerは変わらず使用されています。
プレイスタイル
鳥山のプレイスタイルは非常に安定しており、さすがスタジオミュージシャンといった感じです。ミストーンもなく1音1音を確実に弾きこなし、丁寧かつ繊細に弾きこなしています。そして正確なカッティングは歯切れよく、心地のいいサウンドです。フュージョン系ならではの複雑なリズムでもその正確さから自然と聞き入れることができるまさに鳥山マジックです。
影響されたギタリストはレイ・パーカーJr、ジェフ・ベック、ジョン・トロペイなどやはりフュージョン系のギタリストが多いですが、様々なジャンルに応じる鳥山はメタル系のセッションやアコースティックなステージでも動じることなく鳥山らしさを残しつつ速弾きなどをこなしています。
↑高見沢ソロライブでは佐藤大剛と共にサポートギターを務めている。
日本音楽をサポート
今まで数え切れないアーティストのサポートギタリストを務めた鳥山。
サポートギタリストの技術はかなり高くなくてはいけません。私もサポートギタリストとして勤めていた期間がありましたが、とにかく忙しい。掛け持ちが当たり前の世界なので1日に20曲を覚えないといけなかったり、譜面がなかったり、無理な注文されたり...あくまでもサポートなので主導権は無いのでしっかりと支えるしかない。そんな世界で現役でやってのけるには卓越した技術とコミュニケーション力がないと到底無理です。
武部聡らを筆頭に日本の音楽番組やポップス業界を支える裏方アーティスト。いち演奏者としてではなく、「音楽家」としての技術や知識を次世代のアーティストたちに引き継いでもらいたいものです。