和嶋 慎治
1965年12月25日
青森県弘前市出身
人間椅子
【画像引用元:https://natalie.mu/music/news/356868】
今回のギターヒーローは「人間椅子」のギタリスト兼ヴォーカリスト和嶋慎治です。
自他ともに認めるハードロックオタク。緻密に作り上げられたリフは、ハードロック・メタルという一貫性を持ちつつも幅広い音楽性や思想を感じさせられ、情熱的かつ哲学的な楽曲を生み出すギタリストです。
人間椅子
1990年「人間失格」でメジャーデビュー。70年代ハードロックを基調とした楽曲に、「怪奇」をテーマにした歌詞を日本語、出身である青森県の津軽弁を用いて歌唱する奇抜なロックバンドです。デビューから現在までも一貫性のあるバンドとしてコアなファンも多く、海外からも人気のあるハードロックバンドです。
【画像引用元:https://youngguitar.jp/web/202001-ningen-isu】
音楽+哲学+日本
和嶋は小学生の頃に聴いた「ビートルズ」に衝撃を受け、その後「レッド・ツェッペリン」を聴いてエレキギターが弾きたいと思うようになりギターを始めました。
1曲通して弾きたいという思いからひたすら練習に明け暮れ、レッド・ツェッペリンの「天国への階段」を3カ月かけて習得したそうです。その時に音楽の世界観が一気に開け、ブリティッシュハードロックにのめり込んでいきました。
また、父親が国語の教師ということもあり、読書好きで「太宰治」「江戸川乱歩」「ニーチェ」などを愛読していました。日本独自の文化にも関心を持ち、仏教、落語や能などの伝統芸を好んでいました。
すでに中学、高校時代に和嶋の世界観は作られ始めました。
【画像引用元:https://honcierge.jp/articles/shelf_story/64】
未知との遭遇
高校で意気投合した、鈴木研一(人間椅子/ベース・ヴォーカル)や音楽仲間と宅録した楽曲を聞かせ合うなど音楽交流を深めていきました。
そんな中、和嶋は実家の自身の部屋でUFOと遭遇します。
窓の外が異常に明るいことに気づくとそこには、アダムスキー型UFOがいました。
物理的法則を無視したUFOが部屋に侵入すると和嶋はそこから記憶を無くし、気づけば2時間経過していたそうです。
この未知との遭遇が発端となり、和嶋の世界観は変わり、恋愛青春が主だった歌詞から厭世的、終末思想に変わり「鉄格子黙示録」を作り上げました。
音楽仲間に聴かせたところ、気味悪がれたが唯一絶賛したのが鈴木研一だけでした。
鈴木本人は和嶋のUFO遭遇体験については「本当かなぁ...」と、未だに半信半疑だそうです。
【画像引用元:https://web-mu.jp/paranormal/12200/】
天国+陰獣
和嶋は鈴木とバンドを組み「死ね死ね団」として活動を始めます。ですが、同名のバンドの存在を知り「人間椅子」と改名。その頃から本格的に東京のライブハウスを拠点として活発的に活動します。大学卒業後も音楽への道へと進み、当時放送されていた「三宅裕司のいかすバンド天国」に出演。鈴木のネズミ男のような奇抜な衣装と独特の日本語歌詞から色物バンドとして笑われていたが、演奏技術と独特の世界観の楽曲が好評となり、辛口な審査員たちも絶賛でした。
1990年「人間失格」でメジャーデビュー。ドラマーの入れ替わりや、バンドブームの終息もあり紆余曲折ありましたが、地道な活動により2023年現在でもライブを中心に活動しています。
【画像引用元:https://www.ongakusyugi.net/868/】
不動のSG
和嶋はデビュー前からハムバッカーを搭載したSGを使用しており、一時期シングルコイル系のギターも使用したがライブ、レコーディングもSGをメインとしています。
【画像引用元:https://lmusic.tokyo/news/feature/interview13】
Gibson SG standard/1993年製
コントロールは2V2Tから1V1Tに変更され、スイッチング奏法用にトグルスイッチを増設しています。一度ネック折れしたがサウンドに大きな変化がなかったため現在でもメインギターとして使用しています。
他にもダウンチューニング用やサブ機のSGも所有しており、ピックアップを水平に保ち、弦に近づけさせるためエスカッション・マウントに改造したり回路部にも手を加えているようです。
どちらのSGもトーンコントロールを1Tに改造しているため、穴埋めにフクロウと勾玉の飾りをつけています。
【画像引用元:https://sago-nmg.com/artists/wajima/】
Sago customモデル
兵庫県にあるギター工房で制作された1本。SGと蠍をモチーフにしたギターで、ボディの一部がくり抜いたような形状の為、鳴りをよくするために通常のSGよりボディが厚めに作られています。コントロール部もメインのSG同様に1V1Tにトグルスイッチが2基搭載されています。
ライブでは上記のギターの他にもGrecoのレスポールタイプを使用する場合もあります。
電子学のすすめ
和嶋のサウンドは70年代ブリティッシュハードロックを意識したような、ストレートなロックサウンドです。使用しているMarshall1987は中古で購入したときから内部が改造されていたが、音が気に入ったためそのまま使用しています。キャビはMarshall1960TVでスピーカーをCELESTION製G12M Greenbackに変更しています。
和嶋はエフェクター作りを趣味としており、ライブやレコーディングでも自作したエフェクターを多用しています。ヴィンテージを感じさせるファズやオーバードライブなど回路、基板から制作しています。本人が監修したムック本【和嶋慎治自作エフェクターの書「歪」】は和嶋の趣味を卓越した知識と研究心が詰まった1冊で大好評でした。
エフェクターボードには既製品と自作の物を並べており、最近ではBOSSの技シリーズが好みなのかディレイとヴィブラートを使用し、ディレイは長年使用していたMAXONのディレイから変更されています。電源やボード自体にも自身で手を加えています。
ワウペダルのJen Cry Babyにはオンオフが目視確認できるようにと青いLEDランプを取り付けたが、実際に使用するとLEDが見えなかったため、小さなミラーをを取り付けて確認しているようです。
2022年には「Wajimachine」というエフェクターブランドを立ち上げ、ハンドメイドエフェクターを販売しています。
80年代HR/HMのようなオーバードライブサウンドが特徴な「WJM-01弥勒」
陰と陽を持ち合わせた世界
多趣味で知られる和嶋はバイクやソロキャンプにも精通しており、自身のYou tubeチャンネルではバイクをメインに投稿しており、ソロキャンプでは作曲や原稿の執筆などゆっくり過ごすようにしているそうです。
【画像引用元:https://www.barks.jp/news/?id=1000207476】
人間椅子の世界観からは想像できないほどアクティブ。根本的にはハードロック好きというところからなのか、ワイルドな一面も多いです。オカルト、仏教、ギター、読書、電子学、バイク、キャンプなど様々なジャンルを行き来することで人間椅子の独特な世界が生まれるのかもしれません。それは厭世的ではなく、一番人間らしい陰と陽をかけ合わせたものかもしれません。
必聴&必見「人間椅子」
・杜子春
「苦楽 ~リリース記念ワンマンツアー~」2021年9月27日@東京・Zepp DiverCity(TOKYO) より
・無情のスキャット
Album「NewYouth (新青年)」
・愛のニルヴァーナ
Album「人間椅子名作選 三十周年記念ベスト盤」