現代のベースヒーロー【アドリアン・フェロー編】

アドリアン・フェロー(Hadrien Feraud)

出身:フランス パリ
1984年8月16日生まれ

2000年代に突如現れてから現在に至るまで、実力・知名度共にトップをひた走るベーシスト。
なにせキャリアのスタートがあのジョン・マクラフリンのアルバムです、しかも当時彼は22歳、次元が違います。
共演したアーティストはチック・コリアやビリー・コブハム、最近では上原ひろみさんのツアーメンバーやアルバムに参加したことで話題になりましたね。
他にも目玉が飛び出すほどの大御所と共演したりしています、それだけ信頼が厚いのでしょう。

〇ジャコの再来

音楽一家に生まれた彼は様々なジャンルを吸収し成長していきますが、
ジャズベーシストの例に漏れずジャコを聞いて衝撃を受け、その道を志したとのこと。

その影響は彼の異常なまでの2フィンガーの速さに表れています、速いったらないです、粒立ちも恐ろしくフレーズも明瞭、3フィンガー奏法とは何だったのかと言いたくなります。
ソロではそのスピードを維持したまま、メロディックマイナースケールを主体に美味しいフレーズを散りばめていくのが彼のスタイル。
YouTubeでも彼のソロをまとめた動画は多数ありますが、多少の手癖はあるものの、ワンパターンにならない引き出しの多さには脱帽モノです、この辺はジャズだけではなく様々なジャンルに触れてきた点もあるのでしょう。

ですがただ速いだけならここまでの信頼は勝ち取れません、そもそもベーシストは支えてナンボです。
その辺も抜かりないのがアドリアンの恐ろしいところ、楽曲を最大限引き立てつつメロディアスなフレーズをそっと差し込んできます。
何よりコードボイシングがいちいちオシャレかつ美しい、ここまで非の打ちどころが無いと欠点の一つでも探したくなりますね。

その他の奏法の特徴として、小指以外の4本を使用したマルチフィンガーピッキングも印象的。
こればっかりは文章で説明が難しいです、動画見た方が早いです。
ただでさえ速いアドリアンがこれにより人知を超えます、例えるならスモーキー永田ぐらい速いです。
こんな奏法どこで使うねんと言いたくなりますがそこは流石のトッププロ、絶妙なタイミングでぶち込んできます。
他にも掌ミュートと親指を交えたコード弾きも彼の魅力ですね。

〇使用機材

そんな完璧超人のプレイを支えるのはKen Smith BuernerMayones Jabba Custom、アンプはMrakbassLittle Mark IVLittle Mark Tubeシリーズ。
ベース本体についてはボディ形状や材質、PU配列の違いはありますが、24フレット仕様やコントロール配置、フィンガーランプ搭載といった点が共通しています。
ライブ時における持ち替え後の違和感を抑えたり、誤動作防止が狙いでしょうか。
映像を見れば気づくと思いますが本体ノブをめっちゃ触ってます、トーンに対する並々ならぬ拘りがあるのでしょう。

そんな彼の超次元プレイが堪能できる映像をいくつかご紹介しましょう

盟友フェデリコ・マラマンとの共演、多大な影響を受けたジャコの名曲「Continuum」のジャムセッション。


アドリアン流ウォーミングアップ、基本的なクロマチックの応用かと思いきやだんだん様子がおかしくなっていきます。


若き日のアドリアン、4:35~のマルチフィンガーはまさに驚異的の一言


最後にアドリアン本人のチャンネルより、コードバッキングやソロの構成などたっぷり堪能できます。

Bassist