伝説のギター・ヒーロー【リッチー・コッツェン編】


リッチー・コッツェン(Richard Dale Kotzen Jr.)

出身アメリカ合衆国 ペンシルベニア州フィラデルフィア
1970年2月3日生まれ

皆さんの周りにも「こいつ完璧超人か…?」と思う人、1人はいませんか?
そう、世の中には二物も三物も与えられた人間がいるのです。

この記事ではテクニック・作曲センス・ルックス・
歌唱力の全てを兼ね備えたリッチー・コッツェンの
魅力を掘り下げていきましょう。

〇お調子者が出会った「音楽」という自己表現

幼少期はかなり目立ちたがり屋、親戚友人の前で
仮装して踊ることが好きだったと 語る彼がギターと
出会ったのはKISSがきっかけでした。
この時ピアノやドラムもプレイしており、後のマルチプレイヤーっぷりはこの頃から育まれていたようです。
しかしそこまで夢中になれなかったピアノとは違いギターにのめり込んだリッチー少年。
きっかけとなったハードロックだけではなく、土地柄的にも触れる機会の多かったR&Bやソウルからの影響を多大に受けた彼は、フレーズの幅を広げると同時に
歌にも目覚めていきます。
こうして好奇心旺盛な少年はジャンルに縛られることなく、音楽による表現を獲得していきます。

〇色々ありまくってソロ/バンドでの地位を両立

なかなか上手くいかなかった地元でのバンド活動を経て、彼の人生に転機が訪れます。
1989年、速弾きブームを築き上げたシュラプネル・レコーズより1stアルバムをリリース。
デビュー作でいきなりスティーヴ・スミス(ドラム)とスチュアート・ハム(ベース)
という超実力派に囲まれてのレコーディングとなりました。
「いい加減なことができないから凄まじく緊張した」と後に語っており、その緊張が功を奏して強烈なテクニックが凝縮されたギターキッズにはたまらない1枚となっています。
翌年発表された2枚目のアルバムでは遂に歌声も披露。
ハイトーンでソウルフル、そしてハスキーな彼の声は後のキャリアにも欠かせない重要な要素になっていきます。

90年代に入りグランジ/オルタナブームの到来により、速弾きムーブメントはかつての勢いを潜め、リッチーもシュラプネルを離れることになります。
その際に契約上でなんやかんやありPoisonに加入し、名曲「Stand」を含むアルバム『Native Tongue』を発表。
LAメタルなイメージをもつバンドにブルージーでメロディアスな楽曲を提供し成功を掴みますが、本当に色々あって脱退。

ゴスペル風のコーラスとアコースティックの響きが心地よい名バラード、ブルージーなソロも絶品


こうした激動の日々を経てソロアーティストとしての活動に注力し、94年に発表されたアルバム『Mother Head's Family Reunion』は彼のギタープレイと歌、ハードロックやファンクなど、バラエティ豊富なソングライティング能力が高次元で融合した最高傑作として名高く、リッチー本人もお気に入りのアルバムとして挙げています。

口ずさみたくなるようなキャッチーなサビは歌モノに触れてきた彼ならでは、後半はこれでもかというほどに弾きまくってます

ソロアーティストとして活動がしばらく続きましたが1999年にまさかの出来事が、そうMr.Bigへの加入です。
あのポール・ギルバートの後任という大役は並大抵のギタリストでは務まりませんが彼は違いました。
ポールが残した超絶フレーズをあっさり弾きこなすだけではなくアレンジを加え、持ち前の歌唱力を活かしてコーラスワークに厚みを持たせ、Poisonと同様彼のルーツを活かした楽曲の提供など、ここでもバンドに新しい風を吹き込んでいきます。
ちなみに、この時期バンドと並行してソロアルバムをリリースしてたりします。
この男クリエイティビティが止まりません。
様々な形での貢献もつかの間、アルバム2枚を発表した後Mr.Bigは解散してしまいます。
リッチーのMr.Bigはもっと見たかったな~と筆者的には思います。

ほぼ同時期にジャズ・フュージョン界の大御所ベーシストであるスタンリー・クラークを 筆頭に、スーパーグループ「Vertú」を結成。
結果的にアルバム1枚を残して解散と短命に終わってしまいましたが、メンバー同士でのバトルと形容しても差し支えない、彼の関わった作品の中では特にスリリングな1枚。
ロック/ジャズという全く異なる性質の音楽を同時並行してしまう彼の音楽的な守備範囲の広さには脱帽です。

この後もソロと一時的なバンド活動を繰り返しながらコンスタントに作品を発表。
現在は活動ペースに余裕が生まれたのか、Dream Theaterのマイク・ポートノイ(ドラム)、と盟友ビリー・シーン(ベース)と共にスーパートリオ「The Winery Dogs」を結成。
さらに、幼少期からの憧れだったIron Maidenのギタリスト、エイドリアン・スミスとユニット「Smith/Kotzen」を結成。
ソロデビュー40周年を目前に今なお精力的に活動を続けています。

超強力トリオ渾身の一曲、テクニック・メロディ・グルーヴ全部入りで聴きごたえ抜群

 

〇ツボを押さえた弾きたくなる&ずっと聴いていたくなるフレーズ

ロック一辺倒ではなく、R&Bやジャズ、ファンクからも多大な影響を受けたと公言しており、手クセが随所に見られるものの耳を惹くフレーズが多く非常にバラエティ豊か。
シュラプネル出身の影響かソロでは弾きまくる傾向にありますが、これ見よがしのテクニック応酬ではなく、表現として音を敷き詰めていると感じます。
この点は影響を公言しているジョン・コルトレーンを意識しているのでしょうか。

ギタープレイに関して目を引くのは何といっても驚異的なまでのレガート技術、あまりにも滑らかで発音が良すぎるのでぱっと見だと混乱します。
ソロはこれでもかってぐらいにレガート地獄、音数に対して右手の動きが少なすぎるのでインチキかと思ってしまうほど。
レガート+スウィープも多用してますね、この時スウィープは最初の一音しかピッキングしないこともザラ、いったいどんなパワーをしているのか。
ソロのド頭でスウィープをぶち込んでくるのも定番ですね。

2010年以降からピックから指弾き主体にスタイルチェンジ、より複雑なコードワークやアルペジオパターンを獲得。
このあたりからカントリー風のフレーズが増えたり、バッキングのパターンが更に幅広くなったように感じます。
マンネリを感じたら躊躇なく違うスタイルにチャレンジする姿勢はクリエイターとしての探求心が今なお健在である証拠ですね。


〇機材について

キャリアの初期はYAMAHAのSG-2000やIbanez RGのカスタムモデルを使用。
ホラー映画のグラフィックが大量にプリントされたRGを覚えている方も多いでしょう。
後に音の好みから個人的にストラトとテレキャスターを同時に購入、


これがリッチーが手にした初めてのFenderギターとの事。
91年にはマスタービルダーのラリー・ブルックスが制作したテレキャスターと
ストラトキャスターを入手、この2本が後のシグネイチャーモデルの原型となり、
コンター加工(テレキャスター)や超極太ネック、DiMarzioピックアップの搭載など、
様々な改良が加えられていきます。
ライブやレコーディングについては彼の個人的ブームによって使い分けているようです。

アンプについてはLaney、Cornford、Victoryといったブランドを経て、現在は
Marshall 59HWを各プロジェクトで使用しています。
曰く、「最高のアンプがあれば、他は可能な限りシンプルに済ませられる」とのこと。
エフェクターも、TECH21から発売されているシグネイチャーマルチエフェクター
「FLY RIG RK5」とチューナーなど、最低限に抑えられています。

余り強いこだわりが無いが故に、手ぶらでツアーに出て機材を現地調達しているなんて
噂が出たことも、実際やってそう。

最後にリッチーの魅力がたっぷり堪能できる動画をいくつかご紹介しましょう。

 

2015年来日公演でのライブ映像、歌唱力とギタープレイの両方を存分に堪能できます。


2020年時点の作品50/50までのフレーズをピックアップした特集、お得意のピボットやなど聞いたことあるフレーズがバンバン出てきます。


2004年発表アルバム「Get Up」より珠玉のバラード
Guitarist