憧れのギターヒーロー【デレク・トラックス編】

デレク・トラックス

197968日生れ

フロリダ州出身

オールマン・ブラザーズ・バンド/デレク・トラックス・バンド/Soul Stew Revival/テデスキ・トラックス・バンド

Derek Trucks on What He Learned From Allman Brothers – Rolling Stone

今回のギターヒーローは「現代の三大ギタリスト」に選定されたスライドギターの名手デレク・トラックスです。

Playing For Change | Derek Trucks

【画像引用元:https://www.playingforchange.com/artists/derek-trucks】

 ブルースファミリー

サザン・ロック、カントリー、ブルースを核とした即興演奏的なスタイルで70年代を中心に活躍したバンド「オールマン・ブラザーズ・バンド」のオリジナルメンバーでもあるドラムのブッチ・トラックスの甥にあたるデレクは、幼い頃から音楽に触れることが多い環境ということもあり9歳からギターを弾き始めます。オールマン・ブラザーズ・バンド(The Allman Brothers Band) | ROCK FREAK(ロック三昧)※ The Allman Brothers Band/1995年にロックの殿堂入りを果たした伝説的なバンド

「デレク」という名も、かつてエリック・クラプトンが在籍していたバンド「デレク・アンド・ザ・ドミノス」から名付けられているそうです。アルバム「いとしのレイラ」ではオールマン・ブラザーズ・バンドのギタリスト「デュアン・オールマン」が参加しています。デレク・アンド・ザ・ドミノス「いとしのレイラ」は当初売れなかった

【画像引用元:https://www.udiscovermusic.jp/stories/unusual-history-derek-dominos-layla】 

オールマン・ブラザーズ・バンドの影響からか、デレクはカントリーやブルースを好んで聴き入り、ギターに熱中します。12歳の頃からはオールマン・ブラザーズ・バンドのゲストギタリストとして参加するほどの腕前となります。

15歳の頃には自身のバンド「デレク・トラックス・バンド」を結成しました。

Derek Trucks Band Vintage Concert Photo Promo Print, 2000 at Wolfgang's1997年にはスタジオアルバムを発売。ブルースを軸とするプレイは評価が高く、1999年にはオールマン・ブラザーズ・バンドに正式に加入しました。オールマン・ブラザーズ・バンドの特色でもあった2人体制のツイン・リードギターの一翼を務め、2014年まで活躍しました。

その後は様々なアーティストのギタリストとしてサポートやセッションギタリストとして活躍し、2001年にはブルースシンガーのスーザン・テデスキと結婚。テデスキ・トラックス・バンドとしても活動しています。

テデスキ・トラックス・バンド、10月に来日公演が決定 | NME Japan

【画像引用元:https://nme-jp.com/news/128228/】

冷静と情熱のプレイ

デレクのギタープレイを象徴とするのは「スライドバー奏法」です。

GLIDE PATHS【画像引用元:https://www.magzter.com/stories/music/Guitar-Player/GLIDE-PATHS】

デレクのスライド奏法は安定した音程とバリエーション豊かなエネルギッシュなフレーズの数々です。通常スライドバーを使用するとコードが押さえにくくなるため、曲に合わせたオープンコードや要所で使用することが多いですが、デレクはほとんどの楽曲を「オープンEチューニング」でこなし、終始スライド奏法で弾きこなしています。音だけだとピックで弾いているようにも聞こえるほど巧みな技術です。

キー違いの楽曲をオープンEチューニングのみで弾きこなすには、かなり高度な技術が必要です。ノーマルチューニングで様々なジャンルやキーの違う楽曲を弾く感じなのでしょうかしかもスライドバー奏法で。極めて高い音階感覚と技術の持ち主という証拠ですね。

 【画像引用元:https://www.news-press.com/】

エネルギッシュで高度な演奏の中でデレクは、直立不動で涼しげな顔で演奏しています。この相反するプレイスタイルもデレクの魅力の一つです。

スライドバーはコリシディン(風邪薬)瓶を使用しており、Jim DunlopからデレクのシグネイチャーモデルDT10が販売されています。非常に軽くサスティンも申し分なく、コシのあるサウンドが特徴的です。非貫通タイプなので、温度が高いステージ上では蒸れやすくなるのが欠点です。

Amazon | Jim Dunlop (ジム ダンロップ) DT01 デレク トラックス ブルース ボトル スライド Derek Trucks  Blues Bottle Slide | ギターメンテナンス用品 | 楽器・音響機器デレク=スライド奏法ですが、通常の押弦演奏もこなします。また、指弾きスタイルが主流であるためデレクの持つフレージングは極めて多彩です。卓越したギタープレイスタイルのデレク。ステージ上では、エネルギッシュなバンドの熱さとサウンドとは相反し、直立不動で涼しげな顔でネックを見つめながら演奏しています。

三大ギタリストの一人としてふさわしい安定感です。

Interview: Derek Trucks of Tedeschi Trucks Band

【画像引用元:https://guitar.com/features/interviews/interview-derek-trucks-of-tedeschi-trucks-band/】 

Dickey SG

デレクの使用するギターはGibson社製のSGをメインとしています。

デレク・トラックスが2022年ツアーで使用したギター、アンプ、エフェクター | ギター・マガジンWEB|Guitar magazine

【画像引用元:https://guitarmagazine.jp/gear/2022-0912-derek-trucks-gear/】

長年愛用しているヴィンテージ風のSG2011年製のオールマン・ブラザーズ・バンドのギタリスト「ディッキー・ベッツ」のシグネイチャーモデルです。61年製のSGを忠実にコピーしたもので、外されたトレモロのネジ穴などもディッキーの仕様が細かく再現されたものとなります。ピックアップは何度も交換されており、現在はヴィンテージのナンバードPAF/Tトップで落ち着いているようです。中音の出方にこだわりがあるデレクはピックアップやボリューム・ポット、トーンポットの交換を常にしており最高のサウンドを探求しています。

 2019年頃は’59年製レスポール#9-1688に搭載されていたP.A.Fを再現した通称「spot」を搭載していました。

そして、メイン機と同様に使用しているのが2000年製Gibson USA SG61リイシューモデル。

SGファン要注目のデレク・トラックス・シグネチャー2014を徹底チェック!|連載コラム|週刊ギブソン Weekly Gibson【デジマート・マガジン】ピックガードは外され、トレモロアームも外して使用しています。トレモロユニットのプレートのみ残していますが、これは見た目重視で残しているようです。本人曰く、「ステージ上でライトが反射してカッコいいから(笑)」と気に入っているようです。

ボディのあらゆる箇所に著名なアーティストのサインも入っており、無造作な仕上がりが余計にカッコよさを演出しています。 

ライブ時のサブ機として用意されているのはデレク本人のシグネイチャーモデルです。

SGファン要注目のデレク・トラックス・シグネチャー2014を徹底チェック!|連載コラム|週刊ギブソン Weekly Gibson【デジマート・マガジン】

【画像引用元:https://www.digimart.net/magazine/article/2014080100741.html】

前述の‘61リイシューモデルを再現しており、マホガニーの導管が良く見えるヴィンテージ・レッドの塗装がかなり渋いです。ピックアップはフロント/リアともに’57クラシックが搭載されています。そしてデレクが‘60s SGを愛する理由の一つ「Slim 60’s “D”」と呼ばれるネックです。非常に薄いネックグリップで1弦、6弦側が切り立ち、あとはフラット。スライドバーを使用するにはピッタリなシェイプとなっています。Dシェイプはテクニカル系のギタリストにも好評で’60s SGの愛用者は意外と多いです。

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❝超❞高品質なアンプ

フェンダー・スーパー・リバーブをメインにダンブルアンプなどを長らく愛用していましたが、2010年以降は「Alessandro」の「AZZ」をメインで愛用しています。Alessandroはアメリカのビルダーによるハンドメイドアンプでエリック・クラプトン、バディ・ガイ、デヴィッド・ギルモアなどの巨匠達が太鼓判を押した超高品質なアンプです。

デレク・トラックスが2022年ツアーで使用したギター、アンプ、エフェクター | ギター・マガジンWEB|Guitar magazine

【画像引用元:https://guitarmagazine.jp/gear/2022-0912-derek-trucks-gear/】

デレクが使用しているAZZはフェンダー・スーパー・リバーブをコンセプトに何度もテストして作られた最高傑作のアンプだそうです。

「手元の音がそのままアンプから出される」と言われるほど表現力は高く、非常にストレートで妥協の許されないアンプです。細かなニュアンスを大事にするデレクにピッタリなアンプとも言えますが、自分の腕に自信がないと使えないですよね。ダンブルアンプもそうですが弾き手が選ぶというより、アンプが弾き手を選ぶのは気が引けます

AZZの他にはフェンダー・スーパー・リバーブにP.R.Sのアンプを使用しています。

アンプで最高の音を作っているため、エフェクターの仕様は少なく、ブースターとして使用するオーバードライブ、常にONのデイレイとロータリー・スピーカー・シュミレーターのみとなっています。チューナーは定番のPolytune 3を使用しています。

【画像引用元:https://guitarmagazine.jp/gear/2022-0912-derek-trucks-gear/】

弦は全てのギターにブルースマンたちの定番「DR Pure Blues 10-52」を使用しています。

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ブルースマン

幼い頃からブルースの魅力にとりつかれていたデレク。今はもうブルースを操るギタリストとなり、ブルースを象徴する一人としてステージに立っています。

エレキだろうが、アコギだろうが、ブルース、サザンロック、JAZZ...アメリカを象徴するようなロックを抜群のセンスと技術で仕上げさせるまさに職人です。デュアン・オールマン、BB・キング、エルモア・ジェイムズといった先人たちのソウルを受け継ぎ増々デレクの魅力は増していきます。

偶然にもオールマン・ブラザーズ・バンドの甥として生まれ、「デレク」という名を貰いブルースギタリストとして活躍。そして、「いとしのレイラ」の発売日に生まれたスーザン・テデスキと結婚。...真のブルースマンと称される日はそう遠くはないでしょう。

Q&A with Tedeschi Trucks Band – Music Connection Magazine

【画像引用元:https://www.musicconnection.com/qa-with-tedeschi-trucks-band/】

デレク・トラックス名曲

クリーンで落ち着きのある曲ですが、スーザンのハスキーボイスにエモーショナルなデレクのギターソロが終盤にかけて熱くなっていきます。ブルースロックらしい解放感のある名曲です!

Tedeschi Trucks Band - Bound for Glory

大所帯のブルースバンドらしい音圧が凄い楽曲です!ベース、ドラムのグルーブもかっよく、オルガン、ブラスのアンサンブルも心地よく盛り上がっていく様はバンドの憧れです。もちろんギターソロはピカイチです!

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