Paul Gilbert
ポール・ギルバート/本名:Paul Brandon Gilbert
1966年11月6日生まれ
イリノイ州出身
レーサーX/MR.BIG
今回のギターヒーローはマシンガンピッキングの使い手「ポール・ギルバート」です。
90年代初頭に活動していたバンド「MR.BIG」。「To be with you」が全米No.1シングルとなり、世界的大ヒットとなる。
バンド全体の高い演奏力は数々の名曲を残している。
エリートテクニカルギタリスト
ポールは幼少期からギターに触れ、ジミ・ヘンドリックスやヴァン・ヘイレン、ビートルズを好んで演奏していました。高校卒業後は音楽専門学校ギター専攻で学び、音楽理論や技術を習得していきます。その卓越した技術が認められ、卒業後は同校の講師に就任したそうです。
ヘヴィメタルバンド「レーサーX」を結成し活動していたところ、プログレやメタルを得意とするプロデューサー「マイク・ヴァ―二―」に見出されます。
【画像引用元:https://www.discogs.com/ja/artist/292457-Racer-X】
ネオクラシカルメタルの世界に入ると一躍ギターヒーローとして注目されます。
圧倒的な技術力に、幅広い音楽性はクラシカルな要素を持ちつつポップ、ロックを彷彿とさせるリフやソロを生み出しました。ポールのアイデアに溢れた音楽性はギターにとどまらず、リズム、ベースといったバンド全体に大きな影響を与えました。
MR.BIG結成
1988年ビリー・シーン、エリック・マーティン、パット・トーピー、ポール・ギルバートの4人で結成され高い演奏力は即座に人気を得て翌年にはデビューアルバム「MR.BIG」でメジャーデビュー。立て続けにヒット曲を生み出し、世界的に有名バンドとなります。
光速ギタリスト
ポールのギターテクニックの特徴は何と言っても「高速ピッキング」。通常ギターでの速弾きはハンマリング、プリリングなどを用いるのですが、ポールの場合はフルピッキングで弾くのです。またタッピングも得意としてテクニカルな奏法は「光速」とまで言われています。
また、「Daddy,Brother,Lover,Little Boy」では電動ドリルにピックを装着し超高速でピッキングをしているかのようなトリッキーな奏法もしています。
makita製の電動ドライバーを使用。makitaも公式スポンサーとしています。
トレードマークはエフホールf
ポールが使用しているギターはアイバニーズ製です。ギターのメカニックなどが好きなポールは自身でカスタムしたエピフォンウィルシュアーモデルなどを使用していましたが、当時エンドース契約を積極的に行っていたアイバニーズと契約を結び、アイバニーズRGシリーズをベースとしたシグネイチャーモデルを長らく使用します。
Ibanez PGM300
RGモデルをベースに、リバーズヘッド、フロイドローズタイプのLo-Pro- Edgeのトレモロを搭載。薄いネックにバスウッドボディ、DiMarzio製のH-S-S配列のピックアップはHR/HMギタリストには馴染みやすい1本でした。
ボディのfホールは実際には穴が空いておらずペイントされており、ちょうどセレクタースイッチとボリュームノブが同一化されて目立たなくなるようにもなっています。とても超テクニカル系ギターとは思えないポップなルックスです。
Ibanez PGM50/PGM1000T
こちらもRGをベースにしていますが、レバースヘッドではなく、ロック式トレモロからハードテイルタイプに変更。
ピックアップは初期の頃から変わらずDiMarzio製を使用しています。
Ibanez FRM
同社のモデル「アイスマン」を反転させたポールシグネイチャーモデル。
最近ではこのシリーズが良く使用されているかと思われます。お酒の「菊水」をモチーフにカラーリングしてあるモデルなど様々なパターンがあります。
また、スライドバーにハマっていた時期はマグネットでボディに取り付けられように工夫してありました。
他にもバイオリン型やダブルネック、アイバニーズのヴィンテージなど数々のギターを所有しています。
【画像引用元:https://www.shinko-music.co.jp/item/pid0590031/】
爽快なオーバードライブサウンド
ポールのサウンドはアンプの歪みを深くかけ過ぎないジャギっとしたサウンドが特徴的です。粒立ちもよく速弾きの時でもしっかりと一音一音聞こえるオーバードライブサウンドです。一度来日公演のリハを見学できる機会があり生音を聞いたのですが、最大の歪みでも優しく弾くとクランチかな?と思えるくらいのドライブ加減でした。また、メインで使用しているギターの弦高はビビりが出てる?かなと思うくらいギリギリの高さでした。これにより歯切れのいいアタック感が増してるのではないかと思います。
アンプはMR.BIG初期の頃は「Laney/GH100L」を使用していました。
粒が細かく滑らかなドンシャリ気味の歪みが特徴的です。フットスイッチでドライブ回路のオン・オフが切替えできたのもポールが好きそうな仕様です。
当時はトニー・アイオミ、キコ・ルーレイロなどが使用していました。
Laneyとのエンドース契約が切れた後は、Marshallの JMP100やVintage Modern 2466を使用しています。
コンパクトだけど効果は絶大
ポールのスタジオにはコンパクトエフェクターがズラリと並びます。
・Airplane Flanger/Paul Gilbert Signature
・MXR Phase90
・Majik Box Fuzz Universe
・LEHLE P-SPLITⅢ
・HBE Detox EQ
・HBE CPR Compressor
・Fulltone Choralflange
・Ibanez Tubescreamer TS808
・JHS Haunting Mids
・Electro Harmonix Deluxe Electric Mistress
…etc
定番アイテムからいつ使うの?的な特徴的なエフェクターが並びます。
ポールはエフェクターのつまみを器用に足で操作しながらエフェクトの効果を飛び道具のように使用します。おもしろい効果があるエフェクターをコレクションしているようでアイデアの宝庫になっているようです。
ライブではTC Electronic Mojo Overdrive、TC Electronic Alterego2 Echo、Xotic AC Booster、などの4つ程度でスッキリとした足元です。
親日家の「ぽーる・ぎるばーと」
前述の「菊水ギター」でもわかるようにポールは日本大好き!なんです。
日本に住んでいた時期もあり、その頃に日本人の奥さんと出会い、結婚しています。
音楽番組「LOVE LOVE愛してる」にバンドメンバーとして出演したり、「ROCK FUJIYAMA」ではマーティ・フリードマンとギター対決していました。
ソロ活動でもジャパンツアーを積極的に行い、またギター専門誌「YOUNG GUITA/ヤングギター」も頻繁に特集を行い、ポールも積極的に出演していました。当時の付録のDVD未だに持っています。
ソロアルバム「Space Ship One」では「Boku no Atama/ぼくのあたま」という何ともカワイイ日本語歌詞をポップに歌っています。
MR.BIG The BIG Finish
ポールが在籍していたMR.BIGは活動休止、解散を繰り返しています。メンバーそれぞれがソロ活動に専念したり、ポールが脱退。リッチー・コッツェンを新メンバーに迎え入れたりと、海外バンドあるあるですが、2009年にはポールを含むオリジナルメンバーでの再結成が実現しました。
2018年MR.BIGのリズムの要であるドラムのパット・トーピーが逝去。あのツインペダルで高速バス回しをしながら〝Let it be″を歌う姿が忘れられません…。
【画像引用元:https://mdpr.jp/international/detail/1745698】
その後MR.BIGはチャリティーライブや、災害被災地支援ライブなど精力的に活動を続けます。
そして遂に、2023年サポートドラムとしてニック・ディヴァージオを迎え入れ、オリジナルメンバーでのフェアウェル・ツアーが決定。日本では東京、名古屋、大阪で開催され事実上オリジナルメンバーでの演奏はこれで見納めとなりました。
【画像引用元:https://youngguitar.jp/news/mrbig-farewell-japan-tour-2023】
これからのポール・ギルバートに注目!
ソロ活動、レーサーXにまだまだ意欲を出しているポールみたいです。おなじみYOUNG GUITARに出演したり、新作ソロアルバム「The Dio Album」では全編ギターインストですが、メタルヴォーカリスト「ロニー・ジェイムス・ディオ」の名唄をカヴァーしています。
ポールのテクニカル要素と叙情的、情熱的なメロディがメタル魂を響かせます。
ポール・ギルバートのテクニカルギターが光る5曲
イングウェイにリスペクトを込めたクラシカルソロを弾きあげる名曲。
「Yngwie Rip Off=イングウェイを盗む」パクリという意味です。
ツインギターとユニゾンでベースはいってくる瞬間がカッコいい!速弾きの憧 れでもある名曲です!
・MR.BIG 「Addited To That Rush」
イントロから飛ばしすぎるMR.BIGの高い演奏力で終始1音たりとも聞き逃すことのできない濃厚な1曲。
・MR.BIG 「Green Tinted Sixties Mind」
バラードながらもポールの繊細なテクニックが光る1曲。一度は聞いたことのあるMR.BIGの代表曲。速弾きが苦手な人でもコツを掴めば弾けそう?
・MR.BIG 「Daddy,Brother,Lover,Little Boy」
やっぱりポールと言えばドリルソング。ハードロック代表曲のようなリフに爽快感が溢れるビートはギタリストには憧れの曲。ぜひ、電動ドリルで演奏してみてください!