高中正義
1953年3月27日生れ
東京都出身
フライド・エッグ/サディスティック・ミカ・バンド/フライング・キティ・バンド
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今回のギターヒーローは2023年に古希を迎えたスーパーギタリスト高中正義です。
【画像引用元:https://genius.com/artists/Masayoshi-takanaka/q/start-making-music】
日本のギタリストランキングでは必ず上位にランクインするスーパーギタリスト高中正義。大物ミュージシャン達や、音楽業界人から絶大な信頼があり、フュージョンをはじめ、ファンク、ロック、ポップなど様々なジャンルもこなす2023年に70歳を迎えた現役ギタリストです。
日本ロックバンドの礎
中学生時代にビートルズ、ベンチャーズに影響されエレキギターを始め、後にジミ・ヘンドリックス、グランド・ファンク・レイルロードなどハードロックにも興味を持つようになり、高校時代にはコピーバンドを結成しバンド活動に明け暮れていたそうです。
そんな高校時代に友人と見に行った松本隆が在籍するバンド「エイプリル・フール」のコンサートを観に行った際に、「酔っぱらったバンドメンバーの代わりに誰かギターを弾いてくれ!」という呼びかけに学生服のままステージに上がり演奏をしたそうです。そのことがきっかけになり、フォークシンガー岡林信康のバック演奏を務め、成毛滋とつのだ☆ひろのストロベリー・パスのサポートも務めました。その後、ストロベリー・パスは正式に高中をメンバーに迎え入れ、フライド・エッグとしてデビューすることになりました。
しかし、高中はギターではなくベースを担当することになり、成毛滋による厳しいレッスンと音楽理論を叩きこまれたそうです。
↑日本の伝説のギタリストの一人成毛滋とつのだ☆ひろ
スタジオミュージシャンからの「高中正義」。
成毛滋の紹介により、スタジオミュージシャンとしても活動していた高中はフライド・エッグ解散後も加藤和彦を中心としたサディスティック・ミカ・バンドに参加。この頃から高中のギター演奏は高く評価され徐々にプロギタリストとして活動していくことになります。
【画像引用元:https://blog.goo.ne.jp/mh0914/e/f1292325df4c6643a065dc21c88f1161】
サディスティック・ミカ・バンド解散後は今井裕、高橋幸宏、後藤次利らとバンド「サディスティックス」を結成。矢沢永吉、吉田拓郎、井上陽水、竹内まりや、浜田省吾、桑名正博といった大物アーティストとのセッションライブや、レコーディングにも参加。バンドだけではなく高中の演奏技術も認められ1976年には初のソロアルバム「SEYCHELLES」を制作。ギタリスト高中正義としてソロ活動を始めました。当初、高中は歌もやりたかったらしいのですが、録音した自分の歌を聴いて「あまりにもひどい…」と思いギターインストゥルメンタルに切り替えたそうです。インタビューで高中は「歌詞が入ってこない。メロディしか頭に入ってこない。だから日本語詞より英語詞のほうがストレートに聴ける」と語っています。
メロディに言葉を乗せるよりもストレートにメロディだけで表現したいこということなんでしょうか。
ロック路線から当時流行していたフュージョンにカテゴライズされ、高中のキャッチ―でトロピカルな親しみやすい曲調は、ファンもアマチュアミュージシャンといったコアなファンだけではなく、流行に敏感な若者や、サーファーといった今までギターインストゥルメンタルに興味を持っていなかった層にまで支持を広げました。
そんな人気上昇中の1979年に高中の代表曲となる「BLUE LAGOON」が収録されたアルバム「JOLLY JIVE」を発表。レコーディングには坂本龍一が参加、パイオニアのCMでも起用されるなど話題を呼びました。同年には日本武道館で井上陽水とのジョイントコンサートを行い、1981年にはオリジナルアルバム「虹伝説 THE RAINBOW GOBLINS」を発売。日本武道館2daysを成功させオリコンチャート3位を獲得。日本を代表とするギタリストとして名を轟かせました。
【虹伝説-THE RAINBOW GOBLINS】
時代の流れとともに高中が制作する曲調にも変化があり、トロピカルなフュージョンから洋楽を意識したダンスミュージックになり様々なジャンルを経験するが、1990年代にはフュージョン色が強い楽曲に戻り高中サウンドとして定着していきました。
長年付き合いのある吉田拓郎が出演していた音楽番組「LOVE LOVEあいしてる」でギタリストとして参加したことをきっかけにさらに再ブレイク。吉田拓郎のツアーに参加、サディスティック・ミカ・バンドの再結成など躍進的に活動し続け、古希を迎えた2023年でもソロライブを続けています。
↑LOVELOVEオールスターズの一員として活躍する高中。バンド生演奏という番組のスタイルが好きだったこともあり出演が決まった。
【画像引用元:https://www.fujitv.co.jp/LOVELOVE/profile/allstars/takanaka/photo.html】
ギタリストの憧れの存在
高中のギターテクニックの評価は非常に高く、プロのギタリスト達からも尊敬されています。様々なアーティストや、業界人がみんな口をそろえる高中の評価は「ミストーン」がないこと。ピッキング、フィンガリングが正確でレコーディングではもちろん、ライブでもミスタッチ、ミスピッキングが一切ありません。
「アドリブ演奏ができないだけじゃないの?」と思われますが、ライブではアドリブ演奏をしている場面が結構あります。それは真面目に練習に練習を重ねた高中の努力の証と言ってもいいでしょう。
本人曰く、「デビュー当時はレコーディングで背伸びして、難しい曲を何度も弾いてまぐれで録れた楽曲を何か所もツアーで廻って同じようにライブで弾くのは緊張したし大変だった。」…と。
努力で身についた技術だけではなく、作り込まれたアルバムと同じようにライブでもファンに聴かせたいと思う真面目な高中の音楽に対する真面目な思いも大きく影響していると思います。
YAMAHA SG+青色=正義
高中といえば「YAMAHA SG」。ヤマハギターを代表するモデルで、GibsonのSGとは違い、レスポールのような厚みのあるボディで対照型のダブルカッタウェイが特徴的な名器です。デビュー当時はGibsoのレスポールJrや、Fenderのストラトキャスターを使用していましたが、1970年代後半からYAMAHA SG1000を使用し始めます。高中から指定された「沖縄の海の色」という一点で制作された鮮やかなブルーカラーのSG-2000は一度盗難に合うものの奇跡的に発見され現在でも使用されています。
その他にもYAMAHA SG-3000をベースに製作されたロック式トレモロ搭載機や、HSH配列、アクティブピックアップが搭載されたモデルを使用しています。
↑ヴィトンのモノグラムをヒントにTAKANAKAのアルファベットが散りばめられたSG-T1。
レスポールの代わりにYAMAHA SGを使用していたと語っており、歪はSG、キレイな音はストラトという感覚みたいです。
レコーディングからライブまで使用しているストラトは六文銭のギタリスト原茂から譲ってもらった1964年製のストラトキャスターを使用しています。ネックは調整が困難になったことから、マスタービルダーのデニス・ガルスカが製作した22フレット仕様に交換されています。ピックアップはセイモアダンカン製に交換され、ピックアップに近いボリュームノブは手が当たるという理由で外されています。
このストラトをベースにしてシグネイチャーモデルが製作、市販されています。第二弾として制作されたフェンダー高中シグネイチャーは、ラメ入りのトロピカルカーでマルチな演奏に適したコイルタップ仕様のストラト。
ライブではとにかく目立つことが最優先の高中は、奇抜なカラーリングのギターや、鉄道模型のジオラマギターを制作しています。
そして、一番有名なのがサーフィンギター
本物のサーフィンをくり抜いて製作されたギターで、トロピカルな常夏サウンドにピッタリなギターです。お気に入りの一本でライブで使用していますが、加藤和彦とのライブでは「あれはやめてくれない?」と言われたそうです。
古くも新しい自分のサウンド
高中の使用機材で外せないのがやはり、Mesa Boogie。中でも高中が所有しているオールドブギーと言われるMARK1はレア中のレアな個体でグライコ付きでスイッチの位置などが若干違うなど珍しい個体です。通常はMesa Engineeringと書かれている箇所にMesa Boogie.LTDと書かれているそうで偽物か?と疑惑が出たそうですが気にすることなく一番のお気に入りで使用しています。
その他にもMarkシリーズやRectifireを使用していて、近年は歴代のメサブギーサウンドが可能なプリアンプMesa Boogie Triaxisを使用しています。
そして高中サウンドに外せないのがダイナコンプとオレンジスクィーザー。
Dan Armstrongのオレンジスクィーザーはギターに直接挿す珍しい代物で、独特なコンプレッサーで薄っすらかかり、サスティンも稼げるので自然なかかり具合といった感じです。
恐らくYAMAHA SGあたりで使用していたかと思われます。
そして有名なのがMU-TRON BI-PHASE。
フェイザー2台をくっつけた大きなエフェクターで、サウンドバリエーションは多くサイケ的なサウンドまで作れる優れものです。長きにわたり使用しており現在でもラックに入っているそうです。他にも名器BOSS CE-1やデジテックワーミー、オートワウなど効果音的に使用するものも使用しています。ライブによっては足元のエフェクターもズラリと並べたりもしています。
ラックを組んだり大掛かりなセットですが、近年は機材のデジタル化も考えているようで、アンプシミュレーターやBOSS GX-100のみのシンプルな構成でライブを行うこともあるようです。
アナログ、デジタルに固執することなく「良いモノは良い!」と率先して使用することが多く、ギターサウンドをまだまだ追及しているようです。
2023年に70歳を迎えた現在でもアルバム製作や、ツアーを行い精力的に活動しています。ギタリストが憧れるスーパーギタリスト高中は日本のエレキギターの歴史はもちろんのこと、日本の音楽歴史にも刻むことでしょう。
【画像引用元:https://lmusic.tokyo/news/159794】
TAKANAKA MASAYOSHI~GUITAR SOLO BEST 3~
サポートで参加した伝説のライブ。延々と続くギターソロは激しいアーミングも相まってハードロック調です。ベースの後藤次利とのバトルも見ものです!!
ライブならではのワイルドなサウンド!開放感のあるライブにもかかわらず丁寧なテクニックはさすがTAKANAKA!といったところです!
タイムマシンにおねがい サディスティック・ミカ・バンド再結成ライブ
64年製のストラトのドライブサウンドがキレキレ!ステージを縦横無尽に駆け回りながらギターを弾く高中に注目です!!