Dimebag Darrell
ダイムバック・ダレル/本名:Darrell Lance Abbott
1966年8月20日生まれ/2004年12月8日38歳没
テキサス州出身
パンテラ/ダメージプラン
ローリング・ストーン誌選定「歴史上もっとも偉大な100人のギタリスト」92位
【画像引用元:https://www.discogs.com/ja/artist/251582-Dimebag-Darrell】
今回のギターヒーローは私が一番好きなギタリスト「ダイムバック・ダレル」です。
80年代後半からメタル界に現れたPanera/パンテラ。チェックシャツにカーゴパンツ、足元はコンバースといったハードコア・オールドスクールファッションでパワーメタルという圧倒的な存在感は瞬く間に人気になり、プラチナディスクを獲得、ビルボードでは初登場1位という大きな成功を成し遂げました。
【画像引用元:https://www.mundometalbr.com/homenagem-postuma-58-anos-de-vinnie-paul/】
パンテラの魅力は数え切れませんがやはり最大の魅力ははギターの「ダイムバック・ダレル」です。
彼は音楽家である父親の影響で幼いころからギターを始め、高校生のころにはギターコンテスト荒らしの異名を取るようになり、審査員の方にまわっていたというくらいギターの技術は圧倒的に群を抜いていました。
幼い頃はクラシックギターで練習していたため左手のフォームはクラシカルスタイルでキレイな運指が特徴的です。そして彼に影響を与えたエドワード・ヴァン・ヘイレンと同じアームを使ったプレイ「スクウィール奏法」がダイムの代名詞となっています。
【画像引用元:https://metalinjection.net/lists/15-facts-about-panteras-dimebag-darrell-that-you-might-not-know-on-what-wouldve-been-his-55th-birthday】
DEAN ML
彼が生涯一番愛用していたといわれる名器「DEAN ML」。アマチュア時代に出場したギターコンテストの賞品として獲得して以来長らく愛用していました。一時、車購入の為に売ったらしいけど….。後に稲妻のペイントを施し、「The Dean From Hell」と名付けるほど愛用しています。
エクスプローラーとVを融合させたようなフォルムにフロイドローズを搭載した見た目的にもインパクトなヘヴィーギター。ブルーのボディに稲妻がペイントされ、ダイムが好きなバンドKISSのステッカーが貼られていました。
ピックアップはフロントにはディマジオのスーパーディストーション、リアにはビル・ローレンスのL-500XLを搭載していました。激しいライブの為かネックを27回も折ったそうですが、補強を重ね使用していたことからかなり気に入っていたのでしょう。
【画像引用元:https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/20082/】
Bill Lawrence L-500 ヌーノベッテンコートモデルN4にも搭載されている人気のモデル。
DEAN社は一時期製造を中止していましたがダイムの人気によって製造を再開しました。
ワッシュバーンに移行していた時期もありましたが本人曰く
「俺のプレイに耐えられるのはDEANだけだった。」と語ってまいす。
【画像引用元:https://www.pinterest.jp/pin/190347521739496510/】
Washburn時のMLタイプはより鋭利なシェイプになっている。
ビルから落としても壊れないアンプ?
ダイムと言えばランドール、ランドールと言えばダイムと言われるほどランドール社製のアンプを使用していたことが有名です。真空管アンプが主流でしたがダイムが使用していたのはトランジスタアンプでした。深く切れるような歪みとドンシャリなサウンドは印象的です。また、
「真空管よりもわずかだが音の立ち上がりが早い。」
と語っていて、ダイム理想のアンプだったことがうかがえます。WARHEADというシグネチャーモデルを出していますが最大の魅力はビルから落としても壊れないことだとダレルは語っていました。
初期のマキシマム ザ ホルモン/マキシマムザ亮君も使用していたことでも有名です。現在は生産終了で入手困難なモデルとなっています。
ダイムサウンド
ダイムのサウンドの秘密はギター、アンプだけではなく他にもあります。
・グラフィックイコライザー
トランジスタアンプの深い歪みをさらに深く鋭利にするのに使用していました。シグネチャーアンプのヘッド部にもグラフィックイコライザーを搭載していたことからダイムにとってグライコはマストアイテムだったと思います。
MXRやBOSS製のグライコを使用していたそうです。
・ディレイ
得意のスクウィール奏法時に欠かせないディレイ。ダレル本人の場合は音響PAがディレイをかけていたみたいです。スクウィール+ディレイ地獄からの叫び声のようなサウンドが響きます。
・ワウ、ワーミー
一度聴いたら忘れないリフにワウとワーミーを使用していることが多いです。
唸るようなワウに、切れそうなほど高音を出すワーミーを使いこなし特徴のあるリフやソロを作りあげています。
Jim Dunlop製のダイムシグネイチャーモデルワウペダルDB-01。
可変領域を6段階で調整可能、+15bまでのブースト、ワウ帯域を高音から低音まで無段階調整可能などダイムサウンドには欠かせない仕様になっています。
Digitech製ワーミーペダル。オクターブを多用したリフなどダイムサウンドには欠かせないアイテム。
・オーバードライブ
ブースター的に使用しているのは親友でもあるザックワイルドのシグネイチャーモデルのオーバードライブ。MXRからはダレルシグネイチャーのディストーションが発売されていますが当の本人は使用せず、ザックのZW-44 Wyled Overdriveを使用していました。
・DR製ギター弦
ハンドメイドで造り上げられているギター弦で、タッチフィールとレスポンスが気に入り愛用しいました。レギュラーゲージを使用していましたが、後に0.09~0.46を使用しています。見た目とは裏腹に繊細なところにまでこだわるダレルは弦の1本1本に気を使っていました。
・チューニング
一般的にギターのチューニングはAの音(440Hz)に合わせて調律をするのですが、パンテラ時代のダレルのチューニングは431~432Hzあたりでチューニングを行っています。
ダイムは「1/4下げたところからはじめて436Hzで落ち着いた。」と語っています。
CD音源とライブ音源でも微妙なズレがあったり、Cowboys from Hellのデモ音源ではチューニングが違います。パンテラの曲をコピーする場合はチューナーよりも曲ごとに耳で合わせた方がより近づけます。あの独特の雰囲気のサウンドはチューニングにも秘密があったのです。
ナット付近にビニールテープを巻いていたり巻かなかったり...謎のままです。共振防止なのかそれと他に理由があるのか...。
・ピックアップ
DEAN MLにはフロントにDiMarazio/super Distortion、リアにBill Lawrence/L-500XLを搭載しています。L-500XLはポールピースが特徴的でブレード型になっておりチョーキングやアーム時の音切れを防いでくれます。その後、フロントにSeymour Duncan/PAF系59に、リアにはダイムシグネイチャーモデルのダイムバッカーSH-13を搭載しています。こちらはL-500XLを同様ブレード型になっており、出力は最強クラスを誇りタイトな低音と太く響く高音が特徴です。
また、ダイムはリアのピックアップをなぜか逆さに付けていた頃もありましたが謎のままです。
テクニック
高校生時代からギターコンテストを総なめにしてきたダイムのテクニックは現役の頃でも群を抜いていました。印象的なリフや、速弾きやアームやスライドバーを用いた奏法などを駆使してブルースやジャズ、カントリー、オリエンタルなどメタルにとらわれないテクニカルで幅広い演奏力を誇っていました。また、他のミュージシャンからも尊敬されるほど練習量が半端なく、ギタークリニックを開催するなどギターに関しては誰よりも情熱を注いでいました。
突然の死
2003年にパンテラを解散し、兄でもあるドラマーのビーニー・ポールと中心に新たなバンド「DAMEGEPLAN/ダメージプラン」の活動を開始します。第一作目のアルバムは全米チャート38位という上位を獲得し、ツアーを開始しました。
しかし、アメリカツアー中の2004年12月8日ダイムはライブ中に乱入してきた男の銃で撃たれ死亡しました。当時、オープニング開始直後ということもあり一部の人たちは演出と思い事態を回避することが遅れました。ダイムは3発を撃ち込まれ死亡した。
この事件はメタル界にとどまらず全米に大きな衝撃と悲しみを与えました。
犯人はその場で射殺されたため動機は不明となっています。
追悼の場ではエディー・ヴァン・ヘイレンや親友のザックワイルドを中心に大勢のミュージシャンたちが参列し早すぎるダイムとの別れを惜しみました。
アメリカテキサス州アーリントンにある墓標。私は過去に2度足を運びましたが、いつでも多くのファンが集まり深く敬意を払っていました。
受け継がれたギター
2003年ダイムは新たなギターをDEAN社と制作中でした。惜しくもダイムが無くなった後に完成されたためダイムが弾く姿は見れませんでした。
ダイム本人がデザインしたRazorbackはダイムのトレードマークでもある「カミソリ/Razor」をイメージし、より鋭くシャープなシェイプとなりました。
完成され「Razorback」と名付けられたギターはエディ・ヴァン・ヘイレン・、ザックワイルドらに送られ、ダイムの意志は多くの仲間たちに受け継がれていきました。
ヴァンヘイレンに送られたRazorbackは フランケンシュタイン・ギターのカラーパターンが施されていました。
親友ザックワイルドに送られたRazorbackには重厚なカラーリングとBUZZサークルがペイントされていました。
ザックはダイムと同い年ということもり仲が良く、ライブで共演も多くプライベートでも深く親交があったそうです。ザックは後に「In this river」とういう追悼曲をダイムに捧げています。
永遠に受け継がれるPANTERA
2018年に兄のヴィニ―・ポールが病死。これによりパンテラ、ダメージプランの再結成が不可能となりました。ですが、2022年元パンテラのメンバーであるヴォーカルのフィル・アンセルモ、ベースのレックス・ブラウンを中心にギターにザックワイルド、ドラムはチャーリー・ベナンテが参加しツアーを決行しました。ファンからは賛否両論あったものの新たなパンテラサウンドとしてはとても素晴らしい演奏でした。
ダイムが残した逸話&名言
・「あなたは神だ!」と言ったファンに「違うだろ!ブラザーだろ!」と返した。
・「ギターは弾くもんじゃない!歌わせるもんだ!」
・「誰がテキサス出身かどうかはフィーリングで分かる」
・「良いギターと良い女は泣き声がキレイかどうかだ。」
・メガデスの誘いを受けていた。
・破壊が趣味で自身の車を10数台破壊した。
・滞在中のホテルのワンフロアを破壊した。
…と、ダイムの逸話は数多くあります破天荒的な一面ありますが、とにかく音楽が好きでギターを愛していした。またファンを大事にしていたことも有名です。
若くしてこの世を去ったダイムの功績は大きく、語るに語りつくせません。
ぜひダイムの唯一無二のサウンドを聴いてみてください!
ダイムバッグ・ル名曲リフ&ソロ10選
重厚なリフとギターソロの3:20あたりの「フェイクエコー」という技に注目。
冒頭のイントロからギターが唸っています。変拍子、転拍子を含んだリフが圧巻です。
代表曲でもありダイムらしい深い歪みのギターサウンドが心地いいです。
クリーントーンのアルペジオと後半の歪みのヘヴィサウンドの対比が凄すぎる。
マドンナがカヴァーしたことでも有名な1曲。程よいスピード感がGood!!
とにかく凄い。オリエンタルなソロも圧巻。1991年モスクワライブは絶賛!!
兄ヴィーニ―のドラムとダイムのリフがタイトで重厚なサウンドを演出しています。
リフ、ギターソロ全面にダイム節が炸裂する1曲。
真空管アンプに変わってサウンドが一新。ダイムらしさは変わらず。
ワウ、ワーミーを多用したリフが印象的。ニューメタルらしさもある1曲。
誰からも愛され続け、2023年現在でも多くの人に影響を与えているダイムバッグ・ダレル。私もDEAN MLを購入しダイムバッカーを搭載し憧れていました。ダイムのように髭を赤く染めることが今の私の夢です。
ダイムについては語りつくせないので今回はここまで。